11/09/2010

タミーノとパミーナ

扉の前で、黒いマントを片手でさっと、片側の肩に翻して鮮やかな紅い裾回しと言えなくもない裏地を見せた係りの若い碧眼の美しい男に、私はチケットを見せ渡し、すこしちぎってもらってから返してもらいホワイエに行く。
バーのカウンターに立つ、崩れてしまう前の一瞬の輝きを持ってそれを誇示するけれど愛想もなかなかの若い女にコーヒーを注文する。ソーサーとカップを受け取り、いつだってそそっかしくて割ってしまうからそれを大事に持ちながらひとり、三人が座れるテーブルと椅子を部屋の端に見つけ座る。
ひとくち、ふたくち啜るうち部屋は今にもパーティが始まる会場のように手にワイングラスやプレッツェルを持った人たちであふれた。

0 件のコメント: